知性などないはずのドゥルンツァは、
あろうことか飼い主であるカリエランテに
牙をむいた。
我が子の危機を本能的に察知してか、
初めて憤怒と愛情を露にしたのだ。
しかし、彼にとって、それは
最初で最後の感情だった。
カリエランテの実子、巨獣ニドヘグ。
その異形なる能力の前に
ドゥルンツァは単なる肉のカタマリと化す。
そう、このニドヘグこそが
カリエランテを邪界の女王にし、結界を破壊し、
アハルテキンを沈黙させた存在であった。
父親の絶命と共鳴するかのように
同時に生まれ落ちたイステハイネの子は、
彼女と同じサファイアのような瞳をした怪虫。
イステハイネはそれでも子供を愛し
乳をやり、抱き締めて子守唄を歌った。
カリエランテの愛憎からなる復讐劇は
ついに最終段階に入る。