<Overdrive〜Vincentdaughter〜>

この帝国を統べるに、あの方をおいて他の誰がおりましょうか。
気高く、厳しく、美しい。
僕の父は、この世に完璧なものなどないと言っておりましたが、
紛れもなく、
あの方は完璧でございました。
兄上様が服毒により倒れられてから、
たった一人で内乱を治めてしまわれたのは、
歴史的偉業を通り越し、もはや神話と言っても過言ではございますまい。

ベル様・・・
あれほどの若さであらせられながら、女帝の座に即位してからというもの、
混乱する帝都と諸外国とを統制し安定させた華麗な手腕。
中には粛正と扇動による恐怖政治を生み出した「暴虐の女神」と謗る心無い者もおりますが、
そのような輩にあえて問いたいのです。
では、他の如何なる手法政策によってこれほど早期に国家の混迷を断ち切り
立て直すことができるのかと。
ベル様の御心は、残虐でも非情でもありません。
ただ我々民が迷わぬよう、毅然として成すべきを成すがゆえに、
人々の目には残虐にも非情にも映ってしまうだけでございます。
本当はお優しい方なのです。

僕はベル様の私邸で庭師をさせていただいてます。
毎日気持ちをこめて花の手入れに尽くしました。
その努力が報われた忘れもしないあの日。
僕はベル様から御褒めの言葉を賜りました。
天にも昇るとはあのような感覚をさすのでしょう。
あの緩やかな微笑と、深く澄んだ声に、
僕は、身分も弁えず、
一瞬でベル様に「恋」をいたしました。
僕のように浅ましく矮小な人間が、
崇高で流麗な女神様に対して、世俗な感情を抱くとは
まったく恐れ多いこと。
しかし日に日に想いは募り、お姿を拝見するたびに、お話をするたびに、
その一挙手一投足が愛おしく、
頭の中はベル様でいっぱいになりました。

嗚呼、あの頃に戻れたら、ひょっとしたら
幸せなままでいられたかもしれません。
あの嵐の夜・・・
僕の想いと劣情をしたためた日記を、ベル様に見られてしまったのです。
僕は涙を流して謝り続けました。
きっと幻滅されてしまった。嫌われてしまった。
僕の汚れた想像で、ベル様のお心を煩わせてしまった。
お許しください!
お許しください!お許しください!お許しください!お許しください!
そして同時にベル様がどれほど美しいか、素晴らしいかを
堰を切ったかのように喋りました。
・・・ついに混乱した僕は
ベル様に恋をしていると、
あなたのためなら死ねると告白しました。
まんじりともせず黙したまま僕の話を聞いていたベル様は
「おまえはずっと私を想っていてくれたのね、ありがとう」
と物憂い微笑で応えられ、その場を去られたのでした。

その夜、僕はベル様のお部屋に呼ばれました。
僕の罪は万死に値します。
絞首刑でもかまわないと覚悟しておりました。
しかし、そこで体験したことは、絞首刑など比べ物にならないほどの
痛みを伴う責め苦でした。

僕は全裸にされて、ベル様の部屋の柱に後ろ手を括られました。
僕の貧弱な身体を眺めるベル様の視線には、さっきまでの優しさはなく、
まるで汚物を見るような侮蔑の眼差しに変わっていたいました。

「おまえ、私が気にかけて庭師にしてやった恩も忘れて、
 私のことを毎日そのイカガワしい目で舐めていたんだろう?」

僕はおののいてギュッと瞼を閉じました。
何か言わないとと思いましたが、口にはサルグツワを噛まされて喋れません。

「なんでそんな恰好でそこに繋がれているか、おまえの知性でも理解できるか?
 できないだろう。おまえらミッドガルドの誇りたかき民族意識を汚す輩には。
 だから、これから教えてやるのだよ。
 生まれながらにして圧倒的に有る立場の差というものを」

するするとシルクの擦れる音が耳に入ってきました。
恐る恐る表を上げると、そこには寝間着を脱がれて下着姿になられたベル様が立っておいでで…
僕は、見てはならないと思いながら、そのベル様の白く透き通るような肌から目が離せません。

「食い入るようね、私の躯に釘付け・・・くくく、
 畜生の分際で私をメスだと思っているんでしょう?
 別に家畜に何を見られても恥ずかしくもなんともないけど・・・おや?」

ベル様の眼差しが、僕の股間に注がれたことに気づき、慌てて脚を閉じました。
ハタと気がつけば、そこが「ぎんぎん」にそそり勃っていたのです。
メスとして見るなんてとんでもない、発情なんてとんでもない、でも
この姿を曝しては、そのような言葉、もはや何の説得力も持たないでしょう。

「何その格好、まるで犬ね、ああ、犬に失礼だったわ。
 だってお前は植物の手入れなんてクソの役にもたたない力しかないもの。
 犬は戦場で薬を運び、敵の臭いをたぐり、牙で獲物をかみ殺す。
 無能、低能、塵芥・・・
 謝りなさい。
 産まれてきてすみません。生きていてすみません、て。
 いくら謝ったっておまえは何の価値もない害虫よ。
 帝国の威信を傷つけ、家畜の分際で人間様に欲情する。
 さて、人糞でも食わせてみようかしら、それとも、くくく・・・」

ベル様の僕に浴びせかける罵声はヒートアップしていきます。
僕の中で、薔薇園で優しく微笑むベル様のお姿が、涙でにじみ、消えていく・・・。
ふと言葉の攻めが一旦止まったと思ったら、今度は
ベル様が右足だけに厚底のブーツを履かれていました。

「ああ、これ? 靴底高いでしょう?
 だってこれからおまえを踏みつけるのに、
 不潔で気持ち悪いおまえを素足でなんて嫌だから、ほら、臭くなっちゃうじゃない」

臭い。気持ち悪い。このフレーズがこれほど傷つくものだったのか。
僕は傷心のあまり顔を真っ赤にしながら悲痛な嗚咽を漏らしていました。

「何? 泣いてるの?
 本当に気持ち悪いわね、寒気がするわ。
 ゴキブリを見たときだってこれほどの嫌悪感はないわよ。
 素っ裸で、罵倒されて、大の男が声を漏らして泣いてるのに、勃起はおさまらない。
 なんて醜悪な姿かしら。
 おまえ歳はいくつだっけ? 一応私より年上なんでしょう?」

情けなくて恥ずかしくて堪え難い自己嫌悪が全身をさいなんでいきます。

「ほら、その股ぐらでカタくなってる愚物をこっちに突き出して見せなさいよ。
 コレで踏みつけてやるわ。使い物にならなくなるかもしれないけど、
 どうせおまえには一生使うことなんてないんだから、別にいいわよね?」

想像して背筋が強張りました。
いくらベル様の力とはいえ、あの靴底でガンガンと踏みつぶされたら、
もう男として僕は機能しなくなるでしょう。

「おい、私に二度、同じ命令をさせるのか?」

ベル様の冷徹な視線が突き刺さる。
僕に選択の余地なんて、はじめから無かったのですから。
僕は両の脚を目一杯開き、腰を突き出して、ベル様の踏みやすいようにポーズをとりました。
不安と恐怖と絶望との中で、僕の理性は焼けこげていく。

「何これ? あまりに貧相で笑っちゃうわね」

そう言ってベル様はブーツのつま先ペニスの先端をすくうように持ち上げると、
裏を踏むようにして、僕の腹部にグリグリと押し付けます。
ベルさまは踏みつける男性器にご自分の体重を徐々にかけられていき、
痛烈な刺激を受けながら、はしたなくも、僕のは一層にいきり勃っていくのです。

「私のような幼い娘に足蹴にされて、ちんこバッキバキにして、
 で、私をなんだって? まだ恋しいとかのたまうのかしら」

僕はぶるぶると震え泣きながら頷いています。

「低脳もここまでくれば白雉ね、妄想の中でおまえは私をどうしたの?
 考えただけで虫酸が走るわ!
 私を愛しているだって? 私の為に死ねる?
 おまえら階級の低い愚鈍な国民は私のために死ぬ以外の価値などないだろうが。
 まったく程度もわきまえぬ牛頭凡俗が「愛」を語るなど片腹痛い。
 「愛」が何かもわからぬくせに。
 獣と同じように発情して、それを「愛」とすり替える・・・なんておぞましい!」

息を荒げる僕から脚をどかしたベル様は、ブーツと下着を脱ぎ、
生まれたままの姿になられて、奥の部屋へ一旦引っ込むと、間もなく戻られました。
その傍らに「彼」を連れて・・・。

「ああ、お兄様、気にしないで、アレはただの家畜だから。
 私たちのような高貴な血族こそ真の人間。
 アレは愚民の中でも最も下等な部類よ。
 稚拙で矮小で下劣で低俗な、我らが偉大なる闘神に泥を塗る汚物!」

僕も噂に聞いてはいました。
ベル様の兄上様は、毒を盛られて心を狂わされ、姿も異形と成り果てたと。
あれは・・・断じてベル様の兄上などではございません。
唾液を垂れ流し、獣のように呻きながら、本能の赴くまま男根を怒らせる怪物です。
ベル様! お気を確かに!
お兄様はもうこの世におりません!
それは肉体も精神も歪み崩れ果てた兄上様の抜け殻でございます!
そのようなモノとまぐわって、万が一にも
次期皇帝となられるお子様を身ごもったりすれば、取り返しもつきますまい。
僕は、拘束されている顎をモゴモゴと動かし、声を押し出そうとしましたが、
まともに言葉にはなっていません。

また、また孕むと仰られたのか?
何と言うことだ!
純潔無垢な女神のごときベル様は、既にあの知性の欠片も感じない化物と夜を共にし、
その子種を受け入れ、腹の中に宿されたというのか!
またということは、もうご出産したのだろうか、それとも流産されたのだろうか。
ダメだ! あんなモノと子どもを作って赤ん坊がマトモなはずがない。
奇形児となって出産に大変な負担を強いられるに違いないのだ。

「お兄様、あの家畜。家畜の分際で「愛」を語る不届き者なのです。
 あれに私達が真実の「愛」というものを見せつけてやりましょう♥」

僕の目の前で可憐な姫は醜悪なケダモノと容赦もなく慈悲もなく
深く深く肉体を繋げ合っておりました。
やめろ、やめてくれ、僕の初恋の人を! 僕の人生の全てを汚すのは!
必死にかぶりを振って瞼を力一杯閉めるのですが、
あの切なく愛らしいベル様の喘ぎは耳から進入し脳に突き刺さる。
心が壊れる、もう耐えられない、
床に額を打ち付けて額から流血しても
この引き裂かれるような心の苦しみの前には無痛に等しい。
絞り出すような悲痛の叫びが喉から這い上がってきます。

殺してくれ!

もうたくさんだ!

死んだ方がマシだ!

後生だ!

殺してくれ!

おぞましい化物は、犯し腰を突きながらベル様の髪の毛をつかんで振り回す。
その無理矢理な動きに添ってベル様の“きゅうきゅう”という悲鳴が聴こえる。

「あ! イク!イクお兄さ、まハァ!
 出して! ベルのお腹の中にねっとり…出してくだしゃイ!
 また、また孕む…ひゃらむぅぅぅッッ!!!」

あのケダモノのいななきと共に、がっちりと絡み合ったまま、
目の前の激しい荒ぶりはピタリと固まり、
数秒感の制止の後、
忘れていたかのように呼吸を思い出し、一生懸命酸素を吸っていました。

絶頂したベル様の柔肌は桃色に染まって、きらきらと輝く汗の玉を乗せています。
ベル様はその小さなお体の中に、汚らわしい胤汁をだらしなく濁々と垂れるケダモノと
じっとり愛しそうに見つめ合って、何度となく接吻を繰り返しておりました。
その舌と舌の絡まりは音を発てて、いやらしいことこのうえありません。

「ハァ…ハァ…ハァ…
 お兄様も私も、この絶頂後の余韻がとても好きなの。
 上も下もない恍惚とした空間を漂うようなね・・・
 お兄様は射精して5分くらいすると、また私の中で元気になるのよ。
 だから根元までペニスをうずめた状態でしばらくじっと待ってるの。
 それを抜かずに三回。今日は私のキケン日だから、特に念入りにね♥
 三回も出されるとね、子宮にこってり濃厚な精液が絡まり溜まって
 下腹部が膨らんで・・・絶対孕むんだって充足感を得られる。
 次の射精では、快感でしばらく喋れなくなりそうだし、今のうちに
 私とお兄様のロマンスを聞きなさい」

そこからは、何度もショックで廃人になりかけました。
あの時は、とっくに正気を失っていたのかもしれません。

「最初はね、私がお兄様を誘って関係していたの。
 でも肉欲の悦楽を憶えたお兄様は、そのうち積極的になってね、
 私の前の穴へ精子を出すことに夢中になってくれた。
 食事の時もお風呂の時も関係なしにね、したくなったら突っ込まれたの。
 凄いときなんか一日7回もしたのよ。
 お腹の中がどろどろのタプタプになって、瞳孔開いちゃって放心してる不格好な私に
 優しいお兄様はずっと繋がっていてくださった・・・。
 普段、自分に中に子宮があるなんて実感はなかったのに、その頃からは、
 粘り気やおびただしい量、臭いまで、まるで子宮の内壁が全部「舌」になってしまったように
 リアルに触感を持ち得たの。
 お腹の中で精子がざわざわ暴れてる・・・感覚があるのよ! 本当よ!
 子宮から卵管、卵巣に無数の精虫達が上がっていく。
 あの頃は、そんなお腹の中で頑張ってる子種達が愛おしくて、私はアソコに塞きを当て
 股ぐらに固く絞った太いクッションのロールを挟み込むようにしてね、
 一匹も漏らさずお腹の中へ抱え込んだの。
 成人男性の精子の寿命は平均三日。でもお兄様の精子は成人よりずっと大きくて寿命も長いの。
 それがずっと私の生殖器官で暴れてるのよ。
 食べてる時もお風呂の時も、ずっと、うじゃうじゃ動いてる。
 寝る時なんてね、お兄様の寝息以外静まり返った闇の中、
 ざわざわざわざわ、活発に卵子を求めて動き回るの。
 妊娠したときは涙を流して喜んだわ。
 つわりで頻繁に吐くようになって、それをお兄様以外の誰にも悟られないように生活してた。
 妊娠線が表れて、お腹にしこりが出来て、それが上がって来て、胎児になっていく。
 とっても元気でね、赤ちゃん、子宮の中を跳ね回ってた。
 四ヶ月くらいでかなりの大きさになったけど、ボリュームのある服を来て誤摩化したわ。
 お兄さまの前でだけ裸になって、
 赤ちゃんの声を聞かそうとお腹に頭を当てる・・・」

「楽しかった。赤ちゃんが育っていく実感・・・私達の天使」

ベル様の眼差しが緩みきった頬の上で潤んでいました。

「出産は誰にも悟られないように、お兄様と二人きりで頑張ったのよ。
 お兄様は興味が湧くと矯めつ眇めつ眺めていたり、飽きるとどっかに行っちゃたり、
 私はその柱にベルトで自分の体を固定してね、苦痛に必死で耐えた。
 やがて赤ちゃんの足が見えて来たわ…そう、逆子だったのよ。
 羊膜を破いて暴れてね、私が悲痛に叫ぶと、うるさかったのか気分を害したお兄様が
 腹を平気で踏んだり噛んだりするから、本当に死ぬかと思って、必死に声を押し殺した。
 30時間以上の苦痛と疲労に耐えながらの出産。おまえには想像もできない喜びよ」

「知ってる? 表沙汰にはなってないけど、私は既にお兄様の仔を3回も出産してるの。
 二人目は流産だったけど、あとの二人はすくすくと育ってるわ♥」

ベル様は熱のこもったため息をついてケダモノに一層ぎゅっと抱きつくと、
濡れた唇から、僕を罵る台詞を紡ぎ続けます。

「私の肉体はお兄様のモノ・・・他の何人も触れることは許されない。
 おまえの場合、私の肌に鼻息がかかっただけでも、死罪にすわよ。
 町中で後悔処刑、生きたまま焼き殺すわ。
 罪状は・・・そうね、孤児を強姦して殺した罪。
 死後もあなたは国中から最低最悪の犯罪者として蔑まれるの♪
 さてと、おまえは阿呆だから、もう一度念を押しておくわね。
 忘れるな、おまえは全ての人間に嫌悪されている畜生であり、
 お兄様は覇王。存在する次元が違うのよ。
 私はこれからもお兄様を深く愛し、おまえを軽蔑している」

・・・あの日から、僕の人生はズレました。

「今夜も私の自室まで来なさい」
花壇の前で僕は声をかけられました。
また、あんな絶望を見せられるのか・・・。
僕は、この卑猥な雌の乱れる様を想像して、いきり勃っていた。

                〜das Ende〜

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